多田千香子 | Pen&Co.(ペンアンド)株式会社・代表取締役CEOのブログ

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北京の「粉もん名人」に弟子入りvol.2

北京の楊先生による粉もん教室は「麺団」づくりに取りかかりました。生地の塊をさしますが何だか勇ましいな、オッス。使う粉もこだわりがあるようです。「古船」ブランドの「餃子粉」と「自发粉」です。(发=発、自発粉。セルフライジングフラワーの訳か)。餃子粉はもちろん餃子用で、自○粉はイーストと砂糖、塩入りです。花巻と包子に使います。
 まずは餃子粉をザザザーッ、ボウルにあけました。もちろん目分量です。「500グラムぐらいかな」「袋の半分よりは少ないですね」と生真面目な?日本女子3人で言い合いました。冷水で作るのが楊先生のこだわりです。ちなみに台南の小龍包名人は餃子の皮は温水、小龍包は冷水でした。 冷水を入れたら耳たぶぐらいになるまでよくこねたら、ぬれぶきんをかけて少し寝かせました。
 お次はイースト生地づくりです。こちらも袋からザザザー、お湯ジャジャジャー、です。「イーストの計量はきっちり。パン作りには1グラム単位で計れるはかりがあると便利です」なんて教えは100万光年のかなたです。いいぞいいぞ。
 とはいえ楊先生、大胆かつ細心の人です。「温かいお水をください」とY子さんに頼んだのですが、彼女が持ってきたお湯を「これはダメです。熱すぎます」と容赦なく却下したのでした。「少し温かいぐらいです。40℃ぐらい」。まことに正しいのでした。
 イースト生地は餃子の生地より少しやわらかい「麺団」にこね、ぬれぶきんをかぶせて放っておきます。2倍ぐらいにふくらんだらOK。イースト臭も強すぎず、いい感じです。まずは花巻づくりです。Y子さんたってのリクエストはゴマとお砂糖の「芝麻醤花巻」でした。黒竜江省出身の女性が以前、作ってくれたのがとてもおいしかったそうです。私も花巻はぜひ教わりたいと思っていました。あのかわいい姿、どうやって作るんだろうか。うどんみたいに細く伸ばして、より合わせるんだろうか…。
 楊先生はめん棒を転がして厚さ7ミリ程度、A4ぐらいにのばしました。中華ごまペースト芝麻醤(チーマージャン)にねっとりとした赤糖(=黒砂糖)をほぼ同量…というか適当に混ぜ合わせ、たっぷり塗りつけます。くるくる巻きずしのように巻いたら1センチ厚さにカットします。まるでシナモンロールみたいだな。
 それからそれから?わくわくしながら手元に注目します。巻きずし状の生地3つをぴったりくっつけ、はしっこをねじってくっつけるだけでした。あっけない。簡単なのにサマになるなー。ねじ、ねじ、ピターッ。調子に乗って量産しました。
 できたら蒸します。よく湯気の立ったところにセイロをのせるのが定番ですが、ヤン流は水から蒸すのだそう。水の量も控えめで、私が鍋になみなみと水を入れると「多すぎです!」とダメ出しされてしまいました。へーえ。
 花巻を並べたセイロは中火にかけ、沸騰してから20分蒸しました。アツアツをほおばります。お、おいしーっ。ゴマと黒糖入りでおいしくないわけがありません。いいな、いいな。刻みネギと塩をふり、層を作るために油を垂らして巻き込んだ塩味の花巻も作ってくださいました。ごま黒糖にほっぺが落ちてしまったので、やっぱり甘いほうが好きだな。
 包子も絶品でした。イースト麺団を棒状にしてから指でピンポン玉ぐらいにちぎります。まるめてからめん棒で丸く広げます。肉あんをのせたら、ひだをとって包み込みます。さすがに先生は上手です。私のは肉あんを詰めすぎて座りがいまひとつ。ゴロン、と転がってしまうのでした。楊先生は脱力するほどきっぱり言いました。「包めたら結構です。形もどうでもいいです」。このあたり、こだわりゼロなのでした。いいないいな。
 蒸したてをダッシュでほおばりました。はぁあー、おいしい。大阪の有名店にも圧勝です。比べちゃいかんか。皮に肉汁がしみた感じが、隣り合わせにしたショウガ焼きのタレがしみたお弁当のご飯をほうふつとさせます。たまらんー。フェンネルやセロリ入りはやさしい味で、ニラはやっぱり慣れ親しんだ味わいです。地元の人は白菜入り包子の場合、生ニンニクをかじりながら食べるのだとか。
 楊先生はまずは何もつけずに味わうそうです。包子はおかゆと一緒に食べるものだそう。へえ、何だか関西における「焼きそば定食」のような…。いや違う。こちらのおかゆはサラサラだし、おかゆはスープ感覚なんだろうな。