多田千香子 | Pen&Co.(ペンアンド)株式会社・代表取締役CEOのブログ

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北京の「粉もん名人」に弟子入りvol.3

北京の粉もん中国語老師・楊先生が水餃子を作りはじめるころ、もう夕方でした。彼女は午後1時からずっと立ちっぱなし、しゃべりっぱなし、手は動かしっぱなしです。タフだなー。楊先生が小さいころ、小麦粉は1度に20キロ入り袋を買っていたとか、自転車で買ってきていたとか。さすが「粉もん文化圏」です。
 北京一の繁華街・王府井に住むK子さんはお急ぎモードになりました。全人代が開かれているためラッシュがひどいそうで、タッパーに餃子たちを詰めてお持ち帰りです。「余ったら翌日は焼いて食べて」。ヤン先生は言いました。焼き餃子はリサイクル献立なのね。
 Y子さんは竹製の「餃子マット」を取り出しました。わざわざ買っておいてくれたんだ。巻きすのような感じです。出来上がった餃子を並べるのに打ち粉いらず。そのまま鍋にも入れやすく、残ればマットをくるくる巻いて冷蔵庫に入れてもOKです。パン生地づくりにも使えそうです。
 先生は千歳飴のように棒状にした生地を指パッチン!鳴らすようにして2センチ大にちぎっていきます。同じサイズのが量産されていくのですが、何気なくやっているようでなかなか難しい。まぁいっか。
 丸めてめん棒で広げたら肉あんを包みます。楊先生流は両端は3〜4つほどタックを寄せ、真ん中は指で合わせるだけ。簡単で美しいのです。10個ぐらいするうちにコツがつかめました。とはいえ楊先生にはかないませんが、「上手になりましたねぇ」とほめられました。
 お鍋でゆでたら片っ端から引き揚げ、アツアツをいただきました。ズッキーニ、ナス、ニラ、フェンネル・・・ニラ以外はあんまり主張がなくて、やっぱりニラが好きかな。それにしても肉あんはまだまだ大量に残っています。先生は「ぜんぶ包子にします」。大きく包んでふかしてくれました。ガンガンいただいて水餃子は20個以上、食べたかも。包子も調子に乗って4つ、5つ…。本当に出されるだけ食べてアホです。さすがに苦しくなりました。包子は絶対、持ち帰ろう。まだ北京も東京もどちらも寒いし、近いからなせる技です。大阪で豚まんを買って東京土産にする感覚だな。
 いつのまにか楊先生は私のことを「チェンシヤンズ(千香子)」と呼んでいました。何だかパオズかチンジャオロースみたい。私のことをこう呼ぶのは、世界中で楊先生だけだろうな。「世界中、どこの街角で声をかけられても、楊先生ってわかる」。ヨウズ、と呼ばれるY子さんと同じことを感じられて、ちょっとうれしい。抱き合って別れました。「チェンシヤンズ、また会いに北京に来てください」。はい先生。タフで明るくて、大胆ですがここぞでこだわりがのぞき、なんといっても笑顔が最高に素敵です。ちなみに楊先生が東京留学中に出会って懐かしいのは「よく食べた喫茶店のハヤシライス」だそうです。