キュイジーヌ・マリさん取材 - 多田千香子 | Pen&Co.(ペンアンド)株式会社・代表取締役CEOのブログ

日曜日の午前4時、目が覚めました。日本かインドか、どことの時差ボケなのか分からんー。ちょっと近所を散歩しよう。いかにも落ち着いたパリらしいクレール通りからアンヴァリッドを一周する幸せったらないのです。自由に歩けるって本当にすばらしい。午前8時、サンドミニク通りにある老舗パン屋さん「ル・ムーラン・ド・ラ・ヴィエルジュ」へ。イートインスペースがあって、すぐいただけるのがうれしい。クロワッサン1.05ユーロ。ああ、このパリパリ感はパリだけの味だわ。
午前10時半、メトロ14番線のクール・サンミリオンへ。オルリー空港に近いパリ近郊の街に住むマリさんが空色の車で迎えにきてくれました。小柄できゃしゃで、笑顔がキュートな女性でした。無事に会えてホッ。助手席で詳しいプロフィールを聞きました。彼女は地上職として22年勤めたエールフランスをこの4月に退職したばかりで、夢だった料理の道に入ったばかりだそうです。ええー、それはよく決断しましたね。22年勤めた、というところから、失礼な想像を言いました。「私と同い年ぐらいじゃないでしょうか」。彼女はふふふ、と笑って、あら、聞きたい？ヒミツよ秘密、と笑いましたが。あとで教えてくれた年齢に仰天しました。私より10歳以上、年上だったので。「料理をしていると若くなるのよ」。そう言ってまた、ふふふっと楽しそうに笑ったのでした。
小柄な彼女のためにあつらえたであろう低い5口コンロのガス台で、めくるめくキッチンショーの開始です。タルトレットにクレープ、私史上最高のパンデピス、彼女の娘が愛しているブラウニー…4時間を超える熱演です。いい表情を撮り漏らすまい。昨夏の「パリのチョコレートがレシピ帖」取材ではコンパクトカメラしかもたなかった反省から、エイヤーっと5年ぶりに新調したNikonで彼女を追います。ああ、錆びつきすぎたフランス語がなかなか出てこず、英語になるのがもどかしい。
マリさんは好きなことをしている喜びにあふれていました。まだまだだけど、、という謙遜もなく、夢に突き進んでいる感じがまぶしくて、一生懸命で、ものすごく決断しているのにかろやかで…。もちろんトシなんて一切、関係ないのもフランスらしい。素敵すぎます。6月のパリの空みたい。私もずっと輝き続けたい。
午後4時、たっぷりのお土産を持たせてくれた挙げ句、帰りもメトロ14番線の駅まで送ってくれました。車を運転しながら話は止まりません。オルリー空港を行き交うエールフランス機を横目に見ながら言いました。「ヒコーキを見ていても料理のことを考えているのよ」。
試食のおかげでお腹がいっぱいです。夜用に何か買おう。ベルシー・ヴィラージュにあった「BOCO」がオープンしていたので寄りました。ミシュランの星付きシェフら有名シェフ監修の料理がWECKの瓶詰めになっている店です。ピクニックメニューのアイデアにもってこいだわ。超定番のにんじんサラダ4.8ユーロ、サーモンとアーティチョークのサラダ8.4ユーロ、イチゴのティラミス4.4ユーロ、アスパラガスのティラミス5.6ユーロ。
アパルトマン近くの「ガトー・トゥーミュー」にも行きました。ミシュラン星付きシェフのジャンフランソワ・ピエージュの店です。ミルフォイユ、シュークリーム×2、レモンタルト、エクレアで19.5ユーロ。イチオシはシュークリームです。意外に見かけない日本式の姿ですがフランスのそれらしく皮がしっかりしていて、クリームもおいしかったので。ミルフォイユはああ、昼過ぎのクロワッサンと同様、買っちゃあかんな…。そういうとアシスタントとして来てくれているリサさんが言いました。「いや、これ、日本だと超上等ですよ」「チカコサン、日本でミルフォイユ食べてないでしょ」。うっ、図星、クロワッサンもミルフォイユも、パリで午前中にしか食べちゃいけないものになっています。
ゆるいお腹は治まりつつありますが時差ボケは絶賛続行中です。午後9時半、ああもうだめー。まだ明るいのにソファーにパタン。眠くなる口惜しさと言ったらありません。丁稚ケイがおらず身軽なのも奇跡、インドを思っても奇跡。願ってもないチャンスなのに。もっと体力がほしい。
☆7月19日(土)18:00-、東京・紀尾井町のCOOKCOOPでイベントをします。ぜひいらしてくださいませ。詳しくはコチラ→夏のフレンチ・簡単レシピ10～人気料理本『パリの小さなキッチン』より～ - COOK COOP | Doorkeeper
☆7月13日（日）11：30−、大阪・なんばパークス産経学園でイベントをします。パリ取材から帰りたて、パリのおいしいもの直送です！詳しくはコチラ→産経学園