多田千香子 | Pen&Co.(ペンアンド)株式会社・代表取締役CEOのブログ

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インドで盲腸?!〈3〉

病院のアポは10時でした。念のため絶食しておこう。グズグズグズーな3歳8ヶ月の丁稚ケイを抱えます。助けてー、ちょっとカーチャン、もう無理なのー。必死でプレスクールに送ってからFortis病院へ行きました。
サッサと治って元気になりたい、となると入院、場合によっては手術か。しかしインドで…。「緊急でなければインドでもバンコクでも手術は勧めない。アジアで日本以外で手術していいのはシンガポールだけ」と先日、病院に駐在する日本人ドクターに聞いたばかりだったのです。そこまで痛いわけじゃないし、できたら薬で散らせないかな。でもGoogleセンセイによると、投薬治療にしても手術にしても、入院するようです。入院手続きに必要なパスポートをカバンに入れました。さっさとよくなりたい。
道がよくないので、ガタガタ揺れるたびにヤメテーと叫びそうに。
病院ロビーで医療アシスタントと待ち合わせ、消化器科へ。きれいな英語を話すドクターの触診でも盲腸の疑いがあるということで、そのまま検査入院することになりました。入院手続きの部屋で「シングルかツインか」と希望を訊かれました。考えてみたら出産以外で入院するのって人生初です。それがインドだったか…。
大部屋ならまだしもツインというのは気詰まりだわ、とシングルに。医療アシスタントの男性は「ここからインドですから。ドクターはいいんですが…入院生活に慣れずに疲れる方が多くて」。
案内された部屋は広くて、ソファーも2つあるし、ティーバッグセットにポットも並び、テレビも大型でルームサービスのメニューもあります。ホテルみたいです。抗生剤の点滴をされました。点滴をぶら下げる鉄棒がベッド上に固定されているので、日本のように押して自由に動けない。トイレに行くにもいちいち呼ばねばならないのね。点滴のせいで、もう24時間、何も食べていないのにお腹がすきません。そんなものなんだなあ。絶食したってやせそうにないのが理不尽だわ。
回診、掃除、ポットのお湯替え、看護師さん…しょっちゅう人が入ってきます。看護師さんがミネラルウォーターのペットボトル2本を可動式テーブルにおきました。ちょっと茶色で、お茶みたいでしたがCT検査のための造影剤です。2リットルです。「2時間で飲んでください」。エエー、こんなにー。飲むと甘くて、子どもの薬を薄めたような味です。うえーん、何のゴーモンか。
何とか飲んでコールボタンを押し、CT検査へ。車椅子を用意されました。ええっちゅうのに…。しかも押してくれる男性はひざ掛けがいると思ったのか、やにわにベッドのシーツをはがしてたたみ、ひざに載せてくれました。いらん…。こういうピントハズレのサービス、インドっぽい。
CT検査は地下でした。う、インドでした。ちょっと野戦病院みたい。先客がタンカで運び出されたのですが汚物まみれだし、細い足をむき出しにしたおじいさんが車椅子で運ばれてくるし…。少し待たされてから名前を呼ばれました。
CT検査の部屋に入ります。シーツが床にまるめて置かれていました。…インドだー。機械は日本製なのか多言語対応なのか、「息を吸ってください」「止めてください」と日本語でアナウンスが流れました。
終わってから部屋に戻ろうとしましたが、車椅子を押してくれた看護師もいません。仕方がないので迷路のような病院をぐるぐる、エレベーター、こっちかなー。
女性守衛さんに行く手を阻まれました。英語が通じないけれど、どうやら待て、と言われたようです。えー、立って待てんよー。すったもんだの末に、通りかかった人(だれだろう)が3階の病室に案内してくれたのでした。インドだー。
ドクターが回診にやってきました。最初に診てくれたドクターとは別の人で、麻酔科医や看護師、総勢10人近くもいます。「lump(塊)があるから手術はできない状態かも、明日、ディスカッションして決める」と言われました。
絶食24時間をすぎましたがお腹が空かないのが不思議です。点滴で人間は生きられるんだな。

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