多田千香子 | Pen&Co.(ペンアンド)株式会社・代表取締役CEOのブログ

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神戸マラソン反省記(下)折り返し〜ゴール

 折り返しの明石海峡大橋のたもとで丁稚ケイたちを見つけられず、心と足がカックンしました。ほんと分かりやすっ。スタートから一緒だった人も担架で運ばれたり、立ち止まって足をのばしたりが続出、次はわが身か…と、ますます悲観スパイラルです。どうして練習が報われないんだろう。よろよろになっても20km台で歩いたことなんてなかったのに、なんで?もう歩き7割、走り3割になりました。
 仮装ランナーには沿道からはたえず声援が飛んでいます。いいなあ。すごく励まされるなあ。魔女の宅急便のキキ、うなぎ男にダルマ、桃太郎…。私も次回、仮装しよかな。かと思えばゼッケンに「自己新更新」と書いてあるのを見かけ、日本語としておかしない?と突っ込む心の余裕は戻ってきたのですが、フィジカルが全くついてきません。心は立ち直ったのに。
 32km地点でおなかの調子まで微妙になりました。2kmごとの給水では必ず紙カップ2個をとって飲んでいたから、もう2リットルは飲んでいるはずです。トイレへ重い足を引きづります。ボランティアさんの指さした先は50メートルほど先でした。ええ、あんなところまで行くのー。必死で向かってコースに戻り、給水コーナーにあったカネテツのチクワをほおばりました。史上最高においしいチクワだー。涙ぐみそう。ブドウ糖タブレットにウンザリしてきたのでした。やっぱり機械じゃないし、味のバリエーションは必要です。
 神戸ハーバーランドのあたりにさしかかりました。前日、ケイと来た場所です。ここまで戻ってきたんだな。あと7km、もうすぐ…と思えど足が上がりません。うんしょ、うんしょ。どうしてー。もがいていたら左の沿道から声がしました。「タダサーン」。西宮のTさんでした。あーっ、来てくれたんだー。急に走り出す見栄っ張りの私です。続いて妻のMさんが、私の本「パリの晴れごはん」を振って応援してくれるのがみえました。もう、うれしくて倒れそうです。ありがとーっ。名残惜しくて振り返りながら、急な浜手バイパス(自動車専用道路)に突入しました。
 もう無理ー。歩いて坂道を登ります。応援もないのでカッコつけで走ることもありません。本当に沿道の応援ってガソリンだわー。途中でエミゴの夫Mクンに抜かされました。追いかけようとしたけれど、足がいうことを聞きません。心のエンジンはトップギアなんだけれど。
 そんなに精神的には苦しくないのに足が上がらず、それが信じられないままゴールまであと2kmにさしかかり、5時間ちょうどのペースメーカーにも抜かれてしまいました。ヤバイ。必死で走り始めました。
 ゴール寸前で「チカゴー!」と声がしました。エミゴでした。ああ、やっと会えたー。アンパンマンの黄色いポンチョを着たケイが「あ!カーサンだ!」みたいな顔をして、ニッコリしていました。よーし、勇気100倍、がんばるぞー。何とか走ってゴールしました。4時間59分14秒。フル4回目でワースト記録、全然ダメダメだー。でも精いっぱいでした。5時間が切れてよかったけど…。くやしくて、うれしくて、ありがたくて、やっぱり涙が止まりませんでした。