多田千香子 | Pen&Co.(ペンアンド)株式会社・代表取締役CEOのブログ

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韓国・慶州さくらマラソン2泊旅<2>

 午前7時、メーン会場のエキスポ公園まで歩きます。最後のパワーチャージ・一口ようかんも4歳児・丁稚ケイに見つかって食べられてしまい、すでにお腹が空いています。うう、大丈夫かな。私はフルですが距離はハーフ、10、5、そしてウォークまであり、姉は10キロ、小5の双子の甥っ子ユウ&リョウ、そして4歳の丁稚ケイは5キロの部にエントリー(ケイが最年少らしい)しています。「もうイヤ」「はしらないー」。グズグズのケイを「イヤなら走らなくていいよ」となだめながら、甥っ子たちに託します。頼んだよー。フルのスタートはふつう、目標タイムごとに並ぶのですが、どうやらなさそうです。1万2千人が参加する大会ですが、フル参加は1000人もいないかも。
 午前8時、空中からドローンやパラグライダーに見守られてスタートしました。澄み切った青空です。暑くなりそうだけれど、完走しよう。インドのプレスクール・IDAの友で現在はソウルに住むトン君一家が、慶州まで会いに来てくれるのだから。
 参加人数が少ない分、ゆったりと走れますが基本、応援もまばらです。それでも沿道から「ファイテン」との声が飛ぶと励まされました。昨年11月の神戸はハーフを過ぎたころから、ホノルルは30キロ過ぎから、ほとんど歩きになってしまいました。練習量が少ない今回は何キロでダメになるだろう…と、ドキドキしていたのですが、30キロあたりまでゆっくりペースですが走れ、何とか、ずっと走れそうな気がしました。
 給水が5キロごとなのにまいりました。2.5キロごとにあると想っていたのですが、2.5キロごとには水を含ませたスポンジがあるだけでした。しかも置きっぱなしの24℃、私が通るころには水分を奪われた後で、絞っても何も出てきません。水くれー。
 干上がってしまい、気分的にトボトボだった32キロ地点で奇跡が起きました。「チカコサーン」。ええ、まさか。振り返るとトンクンの母T子さんが手を振っていました。「ありがとう、がんばるーっ」。急に心に着火、うおーとペースアップです。しかし菜の花畑のど真ん中、沿道にだれもいないようなところに、どうやってたどり着いたんだろう。日本の大会のように、通過時刻がリアルタイムで分かる仕組みじゃないし、ちょうど死にそうなところで出会えるなんて、すごい。会えたうれしさで41キロまで持ちました。途中、急な上り坂だけ歩きましたが、ずっと走り続けられました。
 ゴール手前でもサプライズがありました。「オカーサーン!」。4歳の丁稚ケイが沿道から飛び出してきました。うわー。カーサンがんばるー。少し手をつなぎましたが思いのほかケイは速くて、またしても鬼の形相で追いかけます。いつのまにか、早く走れるようになったんだな。迎えてくれる人がいるって、やっぱりいいな。しみじみありがたさをかみしめました。
 手元の時計をみると4時間48分でした。フルマラソンは6回目(大阪・淀川市民、パリ、大阪、神戸、ホノルル)で最遅記録を更新するばかりだったここ1年では、ベストです。走っても走っても結果が出ない呪(しゅ)から抜け出せました。応援してくれたT子さん、姉、甥っ子たち、そしてケイ…すべての人に心から感謝します。決して速くはないけれど、満足です。慶州の抜けるような青空に向かって叫びました。やった、引退撤回だー。