多田千香子 | Pen&Co.(ペンアンド)株式会社・代表取締役CEOのブログ

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韓国・慶州さくらマラソン2泊旅〈3〉

「で、トンくんは?」。慶州さくらマラソンで42.195kmを走り切り、ゴールするなり姉に訊きました。姉は頭を振りました。「会えてないんよー」。ええー。姉が10kmの部に出て、ゴールしたのが午前9時半ごろだったようです。 5キロの部に出た小5の甥っ子ユウ&リョウ、4歳の丁稚ケイはすでにゴールしていて、すぐに見つかったのだとか。甥っ子の話によると「少しおんぶした」と言いますが、身長130cmの彼らもそんなに長く17kgを背負えるわけがなく、ケイもほぼ自力で走った(歩いた)だったようです。1時間ぐらいでゴールしたのかな。ケイは人生初のメダルがうれしいようで、ずっとぶら下げていました。
それにしてもこのために博多港でレンタルしたWi-Fiが痛恨のバッテリー切れ、トンくん母のT子さんと連絡しづらくなったようでした。ゴール前で姉&3男子は2時間、ずっと待っていたそうですが、見つけられなかったと言います。
うーん、もう午後1時です。32km地点、菜の花畑で会えたのは幻だったか。パックツアーの宿命、集合時間は午後1時50分です。ツアーから離脱して自力で釜山まで戻りたい、とガイドさんに前日、頼んだのですが、答えはノーでした。そのかわり、集合時間を20分、遅らせてくれはしたのですが…。他のツアー客にも申し訳ない。いったんゴールを離れ、すぐ近くの集合場所であるホテルに戻りました。ホテルならWi-Fiが通じます。
午後1時半、T子さんとつながりました。どうやら近くにいるようです。あと20分でホテルまで来られるか…。動きたいけれどフルのあと、全然動けません。玄関でそわそわ待ちます。トンくんとT子さんの姿が目に入りました。やったー。
トンくんはインドの元同級生ケイを見つけるなり駆け寄りました。少しほほ笑みながら、ぎゅう、とケイの首根っこに両腕を回しました。とても自然で、いつもやさしいトンくんらしいしぐさでした。ケイもぎゅう、と抱き返し、インドにいるときみたいに子犬のように2人はじゃれあっていました。涙が出そうになりました。
慌ただしく写真を撮り、またお互い、ぎゅうして別れました。たった10分の逢瀬でした。な、なんてこと。でもでも、菜の花畑での出会いは値千金でした。ご縁があった、のだと信じます。
T子さんによるとソウルから新幹線KTXで2時間、は予定通りですが、新慶州からが遠かったようです。マラソンイベントのため大渋滞で、街行きのバスが動かず、降りるはめに。次男タッくんを背負って3時間、競歩となったそうです。それであんな菜の花畑にいらしたのかー。大変な思いをさせて申し訳ない。「途中で間に合わないかもとくじけそうになりましたが、ゴール(笑)できてよかった〜。勝手にマラソン短距離コースに参加した気になりました」。完走できたこと、ゴールでケイが待っていたこと、T子さんに会えたこと…。すべてが慶州の奇跡でした。