多田千香子 | Pen&Co.(ペンアンド)株式会社・代表取締役CEOのブログ

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インド封鎖(ロックダウン)備忘録vol.9-JAL臨時便に乗るまで

【Contents】

 インド封鎖30日目。日本人会・商工会からアンケート

「デリー日本人会とインド日本商工会では、ロックダウンが延長される中で一部に強い要望があがっているデリー発の更なる臨時便についてアンケートを実施し、実数の把握を行い臨時便実現の可能性について探っていきたいと考えております」。

4月23日、両会の連名でデリー発臨時便についてのアンケート実施が流れてきた。

「運航可否は、アンケート結果を踏まえて検討していくこととなりますが、実現するとしても早くて5月以降だと思われます」とのことだった。

答えは3択。「必ず帰りたい」「状況により帰りたい」「当面はとどまる」だった。

 インドはロックダウン中、国際線・国内線とも全て停止している。JALANAも(少なくとも)5月末までは運休を決めている。

コロナにかかわらず、もともと5月末に帰る予定だった。JALの特典航空券を年明け早々、予約していた。当然キャンセルになっていたが、できれば予定通りで動きたい。

「必ず帰りたい」と答えた。

アンケートの結果では、210人ほどが「必ず帰りたい」だったという。 

インド封鎖35日目。JALの臨時便「計画」が発表

日本航空では,インド航空当局の許可が得られれば,5月4日にデリー発羽田行の臨時便を運航することを計画しています。」とのメールが在インド日本大使館から届いた。

5月4日、思ったより早かった。ロックダウン2.0が終わった翌日だから。おそらくロックダウンは延長だろうし、本当に飛ぶのだろうか。もう6日後だ。「本当に飛ぶ」「必ず乗る」と想定して準備を始めた。まずは銀行へ。こわごわ外出したのはこのためだった。


Lockdown Challenge @ India Day-36 | 40日ぶりに外に出た|with Nobu’s Cooking

インド封鎖37日目。臨時便の運航が決定

4月30日午後2時36分。「日本航空では,インド航空当局の許可を取得し,5月4日にデリー発羽田行の臨時便を運航することを決定しました」とのメールが来た。まさに、キターッ、だった。4日、ゴー、だ。

すぐにメールにあったJALの電話番号にかけた。つながらない。4つ目の番号でつながった。チケットを買いたい旨を伝えたが「もう営業時間は終わっている。明日朝かけて」と言われた。(大使館メールであとから訂正が来た)

もうインドに残っている人も少ないはずだ。アンケートでの帰国希望者も200人ほどだった。「チケット争奪戦にはならない」と聞いていた。でも、ひょっとして。

午後3時半ごろ、旅行会社に勤める友人に連絡した。「すぐ手配します」。午後7時半、「お席が確保できました」とメールがあった。8歳児と2人分で片道16万ルピー(23万円)余りだった。通常時の2倍か…。でもアシアナ航空のソウル行き臨時便(1人12万ルピー)よりは安い。乗れるだけありがたい。買いだ買いー。迷わず小切手を切った。

夜には満席になったらしい。「キャンセル待ちが100人以上」と聞いた。持つべき者は友だった。心から感謝しよう。

 インド封鎖41日目。インディラ・ガンディー国際空港(Terminal 3)へ

JAL30便19:00発だった。身を寄せていたノブさん宅を午後2時、出る。最後までお世話になりっぱなしだった。「よーく、頑張った」。ノブさんの、思いのこもった声だった。涙と汗でマスクもぐちゃぐちゃになった。無事に日本へ帰れるよう、祈っていて。

Terminal 3までグルガオンから3度、停められるがそのつど、日本大使館とインド政府のレターをみせる。特に問題はなかった。


To terminal 3 from Gurgaon under Lockdown/04May2020

15:00には着いてしまった。「16:00まで外で待って」と言われる。遅れるよりはいいけれど38℃、外で待つのはつらい。何よりドキドキしていた。無事に出国できるか…。ありえないことだが100%、大丈夫ともいえない。あっても不思議じゃない。怖かった。ターミナルに入ってしまえばこっちのものなのに。

立っていたら8歳児の同級生の父親にばったり会った。台湾の政府関係者で、チャイナエアライン臨時便も同日同時刻に飛ぶという。台湾の人もまだ、残っているんだな。

JALの客は8番出口(一番奥)に行くよう指示された。列に並ぶ。背後にピッタリ、並んでいるではないか。何のために40日間、厳しいロックダウンを耐えてきたのか…。

JALのインド人スタッフに「Keep distance」と指導される。

ターミナル前で検温された。健康チェックの紙を2枚、同じものを書いて出す。ようやく中に入れた。ホッとした。これで大丈夫だろう。

搭乗手続きはスムーズだった。荷物はベルコンが停まっているのでスタッフが手で運んでいた。 出国手続きもまったく待たなかった。が、何か言われやしないか…。息が詰まりそうだったが大丈夫だった。「バンッバンッ」。私の赤いパスポートと、8歳児の濃紺のパスポート。乱暴に押されるスタンプの音に安どした。8歳児とハイファイブした。

出国エリアは眠りについたままだった。だれもいない。

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