多田千香子 | Pen&Co.(ペンアンド)株式会社・代表取締役CEOのブログ

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麹町カフェ

 東京・御茶ノ水明治大学へ。先週、訪れたばかりの被災地・岩手県大槌町の写真展を見てから、報告会に参加しました。当初の教室は70席ほどで、あっというまに満室に。丁稚ケイ連れのため教室内で聴けたのは前半だけでしたが帰り際、大槌出身で東京在住の女性たちと立ち話しました。故郷への思いがこもっていて、こみあげるものがありました。宮城・南三陸にボランティアで通っているという女性とも話しました。彼女の襟元にケイが手を伸ばしています。「南三陸復興タコ」の缶バッジでした。快くケイに譲ってくださり、心から感謝です。
 生後10か月のケイはこの日、人生最高のおめかしをしていました。お祝いの席に「一緒にどうぞ」と招かれていたからです。またしてもライター・ユミさんを頼ることに。お手製のネクタイに彼女の息子カナッティのトミー・ヒルフィガーの白シャツを借りました。ズボンは大阪のRさんが贈ってくださったラルフローレンの半ズボンです。まだダブダブで、ちょっとボンタン風…って死語か。初節句のお祝いに彼のおばあちゃんが贈ってくれた手縫いの靴を履きました。白い革靴なんて、何だか鳥羽一郎みたいやなー。どうせなら小さなブーケも持たせて主役の2人に渡したかったけれど、時間切れしてしまいました。まぁいいか、お祝いお祝い。私もディナーに出かけるなんて久しぶりです。ちょっとウキウキして出かけたのでした。
 約束の場所に着くと、もう半分ぐらいがそろっていました。ドアを開けて、待っていたのは「小学生以下はお断りしております」でした。うひゃー。そうなんだ。ウェブにも「お断り」との文言はなかったし、「気軽にだれでも楽しめる」とあったし、ベンチシートもあったし…。拒否された事実より、その言い方がラッシュ時の山手線で浴びる目線にも似て、断られたこと以上に居場所のなさを覚え、ほんの3秒ほど、悲しかったのです。
 せいいっぱい、おめかししてきたのに、残念だったなぁ。ミニ鳥羽一郎…じゃなかった、ケイに話しかけました。いや、たまにはこういう目にあったほうがいいのかもしれません。そうでないと遠慮知らずの無謀母、調子に乗ってどこでもガンガン行っちゃうから。ま、こういうことも結構、子連れだとありますからアッハッハ…と言いつつ、ちょっと動揺しました。
 このまま帰ったほうがいいんだろうか。でもお祝いの席ですし、私もそうそうない機会です。とっさの判断で近くの「麹町カフェ」にケイを連れて行き、相方ユウさんと交代で食べるという手段に出ました。まずは私が前菜を終えて、ダッシュでカフェへ。
 拾う神あり…というのか、ちゃんとうまくできているというのか、麹町カフェのスタッフは、本当にやさしかった。入り口にあるソファに陣取ったケイにぬいぐるみを渡してくれたり、相手をしてくれたり。おまけにサプライズでデザート皿がやってきたのです。
 ちょこんとのったブラウニーに、チョコレートで「ありがとう」と書かれていました。ありがとう、って、言ってくれるんだ、散らかしまくって広い席を占領している私たちに、この店では。涙が出ました。
 お皿にはケイでしょうか男の子と、クマ、ブタが描かれていました。お祝いの席で出されたデザートもおいしかったけれど、この素朴なブラウニーのほうが心にしみて、救われました。本当に、救われたのです。両方の店でデザートを平らげ、ホンマにくじけんやっちゃな私。
 動揺してしまったせいか、丁稚、初のネクタイ姿、自分たちでは写真に撮り忘れたのが残念だけれど、まぁいっか。麹町カフェには必ず、お礼に行こう。入店拒否の店にはかみきれない前日のバゲットのような胸のつかえが残っているのも事実ですが、ドンマイドンマイ。
 麹町カフェ http://www.kojimachi-cafe.com/