泣く子も黙るバターサブレ

１０月のフランス旅行は子連れの友人と一緒でした。２歳のSやん、大のお気に入りだったのが、料理学校ル・コルドン・ブルーで作って持ち帰ったバターサブレです。Sやんの母である友人いわく「黙らせグッズ」。ぐずり始めると、はいはい、お１つサブレ、めしあがれ。するとアラ不思議。ピタリと泣きやみ、すごい勢いでサブレを１枚、２枚とほおばるのです。食べるたび「おいしい？」と聞くと「おいちー」とSやん。えへへ。うれしくてまた「おいしい？」「おいちー」。我ながら本当に、しつこい。友人たちにも人気で「Sやん、そんなに食べないで、私たちの分残しておいて」と羨んでいました。
もちろん、一緒に持ち帰ったシュークリームもプチフールもおいしがって食べてくれましたが、サブレほどの威力はなかった。作り方に、特別な秘密があったわけでもないのに。材料もバターに卵、砂糖、小麦粉、バニラパウダーと、ごくごく普通です。素材がいいのか、パリの空気が、魅惑的な味に仕立ててくれたのか。
このサブレの名前は「ディアマン（Diamants）」。ダイヤモンドとの意味です。人を引きつけてやまない味わい、確かにありました。