Ｊ子さんのおいなりさん

デンマーク在住36年・Ｓ子さんのおかげで、たくさんの素敵な日本女性に会えました。海外で長く暮らす彼女たちはみな、とても明るくてタフで、なんというのかな、あっけらかーん。そして言葉を上手に操ります。中華食材店に行けば、「あら〜偶然！」。Ｓ子さんが声をあげました。佐賀出身のＴ子さんです。ロイヤルコペンハーゲン社で人形の絵付けをしていたと伺いました。「ゴボ天、おいしいわよね」。2人がうれしそうに意気投合していたのが印象的でした。
　私がデンマークを去る夜、S子さんの息子さんの友人がやってきました。豪州出身のキャメロンといいました。息子さんとはスケートつながり。豪州の元五輪フィギュアスケート選手（84年サラエボ、88年カルガリー、92年アルベールビルの3大会連続出場）で、いまもアイスショーで活躍しています。すごいなぁ。
　彼のおもてなしメニューに頭を悩ませるＳ子さんに「あなた、いなり寿司はどうなの？」とＴ子さん。おいなりさん用に甘辛く煮た缶詰を棚から取りだしてきました。へぇー、缶詰入りおあげさんなんてあるんだ。「こんなものしかなくてねぇ」。Ｓ子さんは言いましたが、なんだかグッときました。
　帰宅すると自宅には、おコメ袋がデデーンと！サンタさんの袋のように、玄関に横たわっていてビックリしました。お料理上手の友人Ｊ子のはからいでした。留守中に届けてくださったのだとか。
　当日も準備を手伝いに来て下さいました。Ｊ子さんは以前、アルジェリアで暮らしたことがあるそう。「だから、どこでも暮らせるわよ〜」。次はインドに住む予定があるとか。ニューデリーで再会を誓うのでした。Ｊ子さんＳ子さんのおいなりさんは翌朝のミラノ行き空弁にもなりました。すぐ日本に帰る私なんかがいただいて申し訳なかったのですが、おいしかった！