多田千香子 | Pen&Co.(ペンアンド)株式会社・代表取締役CEOのブログ

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ダージリン、紅茶をめぐる旅(4)ダージリンで午後の紅茶

 デリー界わいでは冷蔵庫や洗濯機、タンスからコケコッコーと鳴くニワトリさんまで、何でもうず高く自転車の荷台に乗せてアラヨッ、曲芸状態で(とはいえニコリともしない)運んでいます。でもダージリンでは違いました。人力でした。茶摘み娘たちのカゴと同じやり方で、町中どこでもオデコに巻いた長い鉢巻きを背中に回し、運んでいるのはプロパンガスや洗濯機、段ボール箱6個…坂道だらけなのでいまにも前に倒れそう。超ヘビーな二宮金次郎たちが路肩を行きかっています。しかも標高2000メートルです。息が切れるどころの騒ぎじゃありません。平地がなく、自転車なんて機能しないのは分かりますが、それにしても大八車とか、ないんかいっ。デリーの自転車便は笑えるけれどダージリンの金次郎は何とも切なくて、この地の苛烈な営みを思うとため息が出ました。
 ダージリンへ向かう途中、カーション(Kurseong)で車を降り、ツーリストロッジでランチにしました。デリーで紅茶販売を手がける「Happy Hunter」の石井博子さんお勧めのチベット餃子・モモを頼みます。チキンモモが4個で60ルピー(120円)。揚げたチキンモモは70ルピーで、肉汁がじゅわっ、でした。
 世界遺産であるヒマラヤ・ダージリン鉄道の線路と並んで車で走ります。幅61センチ、トイトレインの愛称通り、本当におもちゃみたいです。ダージリン駅とグム駅の間で土砂崩落があり、観光客向けの蒸気機関車は運休になっているのですが、せめて通常ダイヤのディーゼル便にも乗れないかなあ。世界遺産フリークでも何でもないのですが、あちこちでぐずる4歳児・丁稚ケイへのアメ台詞が「(〜〜したら)蒸気機関車に乗れるよ」だったので、むやみに期待値をガン上げさせてしまい、いまさら「乗れない」では半殺しにあいそうで怖かったのです。
 ダージリンでの宿泊先は「ザ・エルギン(the Elgin)」です。西ベンガル州マハラジャの元・別荘で築120年以上とか。クラシックなたたずまいはイギリス風というか何というか、時が止まったようでした。Booking.comで予約してツインルーム(旅の友ハルコさんとシェア)で2食込み、2人で7762Rs(1万5000円)でした。もう1泊は急きょ、電話で前日夜に予約したためか、1万128Rs(2万円)でしたが、デリー界わいでは考えられない。お値打ちでした。
 アフタヌーンティーもゲストは無料とあったので頼みました。「ダージリンで茶摘み娘」に続く目的は「ダージリンで午後のお茶」だったので、私的にはゼヒモノだったのです。チェスボードが並ぶ居間に、銀のトレイにのせられたスコーンと紅茶が運ばれました。窓の外は茶葉を濡らすやさしい雨が降っています。ああ、気分はサマセット・モームやー。
 そうは怪獣ケイが許しません。スコーンは私の分まで食べてしまい、チェスの駒でおはじき遊びを始める始末です。霧にかすむ峰々を遠い目で眺め、心で木魚を乱打します。いや、せっかくダージリンまで来たのだから、チベット仏教マニ車でも回すか…。

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