人生はビターチョコアイスのように

　1泊10万円の入院から復活したご近所Ｓさん、デリー南東500キロの街・ラクナウのナツコさんが自宅に来てくださいました。イカシュウマイもどき、パプリカのきんぴら、お赤飯でおもてなししました。パートナーがイスラム教徒のナツコさんはラマダン中で、日没後から夜更けまでの宴会のこととか、インドの土地相続の話とか（相続税というものがないらしい）、ＩＴ産業の隆盛はカーストの裏返しだとか、インドの深淵に迫る？！話の数々、しびれたのでした。
　印象的だったのは、試作品のチョコレート・シャーベット2種を出した際の反応でした。男性陣はふたりともあっさり味、ナツコさんは濃厚でほろ苦いチョコ味を好きだと言ったのでした。「インド菓子はひたすら甘く、日本の洋菓子もときに軽過ぎたり甘さ控えめだったりで物足りない……。チカコさんお手製のビターだけどしっかり濃厚なアイスクリームをいただいたことを思い出し、うん、やっぱり人生も砂糖やカカオがたっぷりと混ざった濃厚なフランス菓子のようなもののほうが、（ときに複雑かもしれないけど）満足度も幸福感もきっと高いよね、と感じ入った日曜日の朝でした」。じーん。自分で人生を選んでインド、しかもラクナウに住んでいるひとの強さを感じたのです。人生チョコアイス、レシピ本に登場させよう、などとひそかに狙っています。
　写真はレジデンス内のヘアサロンで丸刈りにした2歳1カ月の丁稚ケイです。マルコメダ・カツオと呼んでいます。