多田千香子 | Pen&Co.(ペンアンド)株式会社・代表取締役CEOのブログ

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大根とホタテのサラダを作りながら

 インド走友会サタデーランを終えた午前10時ごろ、新刊「パリのチョコレート レシピ帖」の三校(3回目の校正ゲラ)が届きました。「週明けに印刷に入れます」。編集者Mさんからのメールにこうありました。スーッ、ハーッ。印字してからチェックしました。ドキドキです。いよいよなんだなあ。
 日本で買うのと同じような大根が手に入りました。わあい、久しぶりだなあ。大根おろしに半分して、残りはどうしよう。ふと思い出したのが「大根とホタテのサラダ」です。1年前に亡くなった母が私が高校時代ぐらいからでしょうか、時折、作ってくれるようになった一品でした。短冊切りした大根にホタテ缶を汁ごと加え、マヨネーズを入れるだけだったように記憶しています。ホタテ缶、というものが我が家の食卓に上がるのはその献立が初めてでした。缶の中に薄い紙が敷かれていて、その中にホタテの実が大事そうに入っているのが「上等な缶詰」の象徴みたいで、缶を開けるのも好きでした。
 ホタテ缶がなくてツナ缶でつくってみようと思い立ちました。あ、でも前日も「松田のマヨネーズ」をかけて野菜を食べたばかりだしワンパターンか。そう思って先日、日本で買ったばかりのサラダ本をめくっていたら「大根とホタテのサラダ」というタイトルが目に飛び込んできたのです。酢としょうゆで味付けしてあって、仕上げにノリをちぎって入れる、とあって、母のそれとは全然、違う味になりそうでした。たまにはいっか。そう思ってレシピ通りに作ってみたのですが、まぁおいしいのですが(自賛)、何か落ち着かない。ツナのせいばかりでもないなあ。新境地を見つけた!的な気分にもならなかったのです。
 私にとって「大根とホタテのサラダ」は、貝柱のうまみが溶けたマヨネーズ味がお約束で、ずっと解脱遊離はできないんだなあ。こんな簡単なものを母の味と言っては天国から憤慨する声が聞こえてきそうで、なんとも泣き笑いな気分になったのでした。
 写真はインド走友会サタデーラン後、衝動的に駆け込みエントリーに行ったマラソン受付会場で。この団体はヒマラヤでもマラソン大会を開いているそうでスゴイです。