おやつ新報おせち部＜上＞

　「おせち部」のアイデアをいただいたのは、新刊「パリの晴れごはん」で撮影アシスタントをしてくださったＭさんからです。料理研究家の方のチームで集まり、ワイワイ作るのだとか。いいなあ。コンビニでも電器量販店でもおせちが買える日本と違い、インドでこそやる価値があると構想１年（というか、伺ってすぐだった昨年末は、バンコクで年越しした）、０．４トンの食材が無事に税関を突破、「合宿」まではせずとも「おせち部」として事始めです。しかしまあ、日本に戻ったり旅行に出たりが多数派でもぬけの殻です。いったいどれぐらいの人が来てくれるかな…。
　クリスマスケーキ作りの会をしたあとの２日間は昏睡状態で荷物の片付け（生クリーム１０リットルをホイップして冷凍したり、冷蔵庫の整理をしたり）をしていたので、準備は３日間です。まずは黒豆を煮ようっと。田造りを煎っていたら、４歳半の丁稚ケイが「お手伝いするー」と乱入です。思えば私も小さいころ、ホットプレートで煎るのが役目でした。煮しめや数の子は社会人になり、１人暮らしになってから、いまは亡き母に電話で作り方を聞いたものでした。「言い忘れたけど数の子は塩をちゃんと抜かんと…」と、あとからよく電話がかかってきたっけ。ネットがなかったからこそ、口伝えでレシピを聞くことができたんだな。幸甚な時代でした。