多田千香子 | Pen&Co.(ペンアンド)株式会社・代表取締役CEOのブログ

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出発の朝、ホテル日航成田で叫ぶ

 東京の朝は早いなあ。夜明けの午前4時、目が覚めてしまいました。フライトは11:30、ホテルを出るのは午前8時台です。冷凍・冷蔵のブツ(ほとんどが冷凍。保冷剤替わりになるので、ソーセージやコンニャク、油揚げも冷凍庫に。冷蔵はナカザワの生クリーム5本(5リットル)とKiriのクリームチーズ5本(5キロ)は、ギリギリまで預かってもらい、いつも空港行きのバスに乗る前にソレーッ、ベルデスク横のスペースを借りて必死で詰めるのでした。
 一時帰国が6回目にしてようやく、しっかり計算して荷造りできた…はず。チェックインして出国審査を通り、JALサクララウンジに入ってようやくホッ、なのですが今回は余裕だわ…と思ったら甘かった。午前8時、最後の荷造りです。茶色の制服姿のベルキャプテンに頼み、ブツを出してもらいました。優先順位の高いモノ(岡山の実家近くの肉屋で買った15キロ、新千歳空港の漁連で買った3キロ)はコールマンの40リットル入り保冷キャリー(酒々井のアウトレットで前々日、購入)にドライアイス1キロとともに詰めました。20キロ。それから赤いサムソナイトを広げ、相方ユウサンが鳥取・境港から送ってきた魚の箱を開けて…と。真空パックのモノを取り出し終えてから、衝撃がやってきました。ギャー。段ボールの下半分を埋めていたのは、鮭、サンマ、ハタハタ、サバ…。えーっ、まさか、よもや、です。どのお魚も裸のまま、ラップも何もされていません。1本というか1尾ずつというか、とにかく切られてもいません。大小ゴロンゴロンと。薄いビニールが一枚、敷かれただけの段ボール箱はサカナクンたちで満員電車、ひしめき合っていたのでした。うそー。驚きすぎて盲腸の手術跡のヘソから腸が出るわー、もう。えーっ、えーっ。どないするん、こんなにー。しかも大量です。段ボール箱1・5箱分です。
 ちょっと落ち着こう。サムソナイトに遮断シートを敷き、念のために買っておいたラップを取り出して試みに鮭を包みました。でも1尾であきらめました。量がすごすぎて、とても間に合わない。やってられへんわ。何とか詰めて運べてもいまのインドは45℃、飛行機から降りて家まで、どう早くみても1時間余りです。45℃なんて、低温調理でコンフィにでもなりそう。なればいいけど。なるわけないーっ。
 異臭を放つスーツケースから水けが漏れ、インディラ・ガンディー国際空港のターンテーブルを回るシーンが頭に浮かびました。どう考えても無理だわ。あきらめよう。 
 丁稚ケイの相手をしていた相方ユウサンを呼びました。「ゴメン、無理だわ、どう考えても」。ユウサンも叫びました。「えーっ、捨てるっていうの。せっかく買ったのに」。だってまさか、段ボールにゴロンゴロン、裸で届くとは…。「当たり前だ、養殖場で買いつけたんだから。産地直送、超新鮮」。いばるなーっ。あまりにも当たり前、を連発するので、怒りたいのですが笑ってしまいました。そりゃあ漁師の世界じゃ当たり前かもしれないけれど、私には無理だよー。もう任せた。確かに「切り身だと場所をとるのでカタマリで」「トロ箱は不要」といったのは私です。でもまさか体長が50〜60センチある鮭が一尾まるごととは…想定外だよっ。「まるごとじゃない。頭は落としてますよ…」。そんなの自慢するなーっ。プルプルふるえるわっ。本当に腸が飛び出すわっ。
 ホテルロビーでひしめく中国人観光客をビビらせてもいけません。「じゃ、よろしくっ」。山盛りの裸の魚と一番、安いスーツケース(魚臭がこびりついてもいいように)を1個、それにドライアイス1キロほどをユウサンに託し、私はサジを100万光年のかなたにほうり投げたのでした。あーもうビックリしたー。完璧だと思った荷造りでしたが、敵は本能寺にあり、でした。