多田千香子 | Pen&Co.(ペンアンド)株式会社・代表取締役CEOのブログ

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ホノルル〜羽田

 子連れランはゴールしてからもまたエンヤコラ、本当の勝負です。ゴールしたのは午前10時半過ぎです。午後2時に空港行きシャトルバスを予約していたのです。ホテルに戻ってシャワーを浴びて、ハワイの友人しのぐさんに前夜から預けていた丁稚ケイを引き取り、彼も汗だくだろうからシャワーを浴びさせて荷物をパッキングして…。ふだんなら余裕なことでも、フルマラソン後は体が自由に動かず、さらに4歳の怪獣連れともなると3倍、時間がかかります。急がねば。
 完走Tシャツとメダルをもらい、別のテントで渡されるマラサダ(ハワイのドーナツ)に心ひかれつつもスルーして、出迎えてくれるはずの友人S子さんを探しましたが、大混雑のせいで見つけられません。時間に余裕があれば待ったのですが…。携帯もおカネも持っていないので連絡もできず、午前11時過ぎ、申し訳ないと思いつつ、会うのをあきらめてホテルをめざし、歩くことにしました。おカネももっていないのでバスにもトロリーにも乗れません。何とか40分がかりでたどり着きました。ホテルのカードキーも友人が持っているため、フロントで事情を話します。スタッフが開錠して部屋にあるパスポートを確認するため、同行してくれました。少し年配のアジア系ホテルマンに完走したの?と訊かれ、事情を話します。子連れで来たこと、ホノルルは初めてだったこと…。そういうと「I'm proud of you」。我がことのように喜んでくれて、また感激です。
 ホノルルマラソンというと「制限時間がない」「芸能人が出る→ミーハー→チャラい(ごめんなさい)→私なんぞお呼びでない」とのイメージでした。しかしまあ、42.195kmに易き道などなく、チャラいはずがありません。おまけに実はアップダウンも結構、多いし、何より暑いし、とても私のような精いっぱいランナーには向かないタフなコースです。でも、ハワイの人のホスピタリティと景色がすべての欠点を補って100万ドルのお釣りがくるわ。人気があるのが分かりました。
 午後1時、沿道ボランティアを終えたしのぐさんが、スタッフのTシャツ姿のまま、丁稚ケイを連れてきてくれました。思わず抱き付いてしまいました。彼女なしでは走れませんでした。丁稚ケイとも笑顔の再会…のはずが、彼はカーシートで爆睡していました。よかった、邪魔されずしのぐさんと最後の話ができます。一晩預かってくれた彼女によると、ケイは少し泣いたけれど結局、絵本5冊を読み聞かせしてもらって午後10時ぐらいに寝たそうです。マラソン当日の朝はしのぐさんの高校生になる愛息クンが面倒をみてくれたらしく、給水所ボランティアにも連れて行ってもらったのだとか。ランナーにかけるためのホースで水浴びをしたらしく、靴下がびしょびしょでした。いい経験したねえ。日本なら…と、ふと思いました。「子連れでボランティア」だって、安全上の理由とかナントカで断られそうだから、自分から自主規制したでしょう。ありがたい。
 「また来年も走ります」。そう言ってしのぐさんと別れました。また頑張ろう。
 グッとくるのをこらえ、車を見送ってから部屋に戻り、ケイを起こしました。「ギャー」。預けられていた恨みと眠気か、不機嫌過ぎて手がつけられません。シャワーも拒否、何とか浴びさせて着替えさせ、午後2時のバスに滑り込みました。やれやれ。
 空港ではJALサクララウンジに直行です。キッズルームがあって本当に助かりました。私も足をのばせました。午後5時20分発の羽田行きは満席でした。8時間半は長いですが、神戸マラソン後に神戸〜久留米を新幹線で移動したのよりはマシです。あの時よりゆっくりペースだったせいか、そうダメージはないようです。ホッ。機内には完走Tシャツを着た弾丸ランナーも多く、たいていの人が足を引きづっていました。ふふふ。
 「虹がないねえー」「どこにもないねえ」。羽田で迎えた朝、一泊したホテルを出てバスに乗っていたらケイがいいました。そうだねえ、お空、曇りだしねえ。ハワイでは何回も見えたねえ。そう答えたら彼は首を振りました。「ちがう、車だよ、車」。車窓に映る車を指さしています。ああ、そっか、ハワイのナンバープレートには、もれなく虹がかかっていたのでした。まったく虹みたいな5泊でした。夢からさめたんだな。
 ハワイの友人しのぐさんのウェブサイト→http://www.kukui-hawaiilifejournal.com/