多田千香子 | Pen&Co.(ペンアンド)株式会社・代表取締役CEOのブログ

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インドで旬のサンマに涙しふるえる会(下)

 モンブランの栗クリームをのせるマカロンを焼き、たこ焼き器で鈴カステラを作り終えるころ、魚の焼き網がコンロにのせられました。いよいよサンマさまの登場です。「うわ、大きいっ」「日本でもなかなかお見かけしないレベル」と、期待は高まります。焼く10分ほど前に塩を振って、念のため焼き網には油を塗ってくっつかないようにして・・・と。焼くのは持ってきた張本人(というのも失礼だけれど)・オケイコ男子リチャードにお願いしました。
 ぼおおーっ。ガスコンロに乗せた焼き網から炎が立ち上ります。どうせなら七輪で焼きたかったけれど・・。「うわー」「すごい脂のノリ」。ふだんは日本やバンコクで買ってきた冷凍の鮭やシシャモ、ほっけなんかを焼いていますが、ここまで火柱が上がりませんて。しみじみ感動です。サンマでこれだけ盛り上がれるのは、インドならではです。
 サンマさまに粗相がないよう、脇役をそろえようと張り切りました。栗ご飯に秋ナス(って、年中あるけど)の揚げ浸し、たこの酢の物、あさりの味噌汁、だし巻き卵、そして日本からのお土産・生卵も用意しました。ここぞとばかり京都の料亭・菊乃井のお勧め「三年醤油」を開封、準備万端です。ああしかし、モンブランも栗ご飯も卵かけご飯も、モクモク上がる煙の向こう、100万光年のかなたにかすんでしまいました。旬のサンマの有無を言わせぬパワーといったらありません。時速150kmの剛速球で投げ下ろされ、私たち5人のハートにずしんとストライクです。一口ほおばったリチャードが目をつぶってしみじみ言いました。「うまいっ」。インドで鮮魚って、ウルトラE難度だから。はらわたまでおいしくて、きれいに食べてしまいました。旬、って何てありがたいんだろう。ほとばしる命をいただいていること、しみじみ感謝しかありません。もろもろを再認識させてくれたのも、季節感に乏しい(なくは、ない)インド暮らしのおかげです。こちらにも感謝です。
 夕方になって部屋に戻ってもまだ、サンマの焼いた香りが漂っていました。ああ幸せでした。

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☆粉遊びの会は一時帰国(10/18-11/21)をはさみまして、11月下旬に再開します。どうぞよろしくお願いいたします。

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☆初の翻訳本が発売されました(Kindle版もあります)。

パリの小さなキッチン

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☆新刊「パリのチョコレート レシピ帖」はおかげさまで増刷されました。日本図書館協会選定図書にも選ばれました!引き続き熱烈よろしくお願いいたします。

パリのチョコレート レシピ帖

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